第1回デザインのよもやまばなし「実はあなたもデザイナー ~デザインのこれまでとこれから~」

デザインのよもやまばなしでは、「デザインのよもやまメールマガジン」で配信した内容について、図やイメージを使ってより詳しく説明するページとなっています。


まずはデザインのことを知っていただき少しでも興味を持っていただくために、今回から数回に分けてデザインの基本的な考え方についてご紹介していきたいと思います。

 「デザイン」と聞いて、

 - うちはBtoBが主で加工専門だからデザインとか関係ない

 - 絵を描いたり色や形を考えたりするのは苦手だし、デザインとか無理

 - パッケージやチラシのデザインはいつもデザイナーに外注しているから大丈夫

こういった方に是非読んでもらいたい内容となっています。

 

デザインの意味と役割

デザインの語源は"計画を記号に表す"という意味のラテン語のdesignare(デジナーレ)で、「問題を解決するために計画を練り、それを具体的なモノやサービスとして表現すること」と訳されます。ただ、デザインという言葉が日本に入ってきた際に「図案・意匠」などと訳されました。そのためデザインと聞くとどうしても色や形で表面を美しく飾るというイメージが根強く残ってしまっていますが、本来はもっと幅広い意味を持っています。

デザインの対象範囲をもう少し詳しく説明すると、図案や意匠といった色や形のデザインを「狭義のデザイン」とした場合、課題の解決やユーザーの使いやすさ、新たな体験価値の提供といった製品やサービス全体を対象とする「広義のデザイン」、会社のビジョンやブランド、ビジネスモデルといったより経営に近い部分を対象とする「経営のデザイン」と、様々な場面でデザインが取り入れられています。

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デザインの広がり

この10数年の間に、日本でも少しずつ幅広い意味でのデザインが認識され様々な場所で活用されてきています。例えば、日本を代表するデザインの表彰制度に「グッドデザイン賞」があります。65年の歴史があり、毎年5000件以上の応募のある国内最大のデザイン賞です。以前は車やバイク、家電、家具といったプロダクトが中心でした。しかしここ最近は遠隔就労が可能なロボットカフェ持ち運べる水再生処理プラント子どもの貧困問題解決に向けた活動など、様々な社会的課題の解決に向けた仕組みや技術、活動といった目に見えない部分も含めた評価がされるようになってきています。

また「デザイン思考」という言葉を聞いたことがあるかと思います。これはデザイナーの考え方や思考のプロセスをビジネスに取り込むことで、新たなイノベーションにつなげるための思考法で多くの企業が導入しています。他にも、経済産業省が推進する「デザイン経営」や昨年新設されたデジタル庁にはCDO(最高デザイン責任者)のポジションが設置されるなど、デザインへの期待はますます高まってきています。

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デザインとは関係性

このようにデザインとは、単に色や形を整えるだけではありません。ビジネスはもちろん人や社会や環境が抱える問題をどうすれば解決できるのか、より良い関係が築けるのかを考えカタチにしていくことだと言えます。こうして考えると皆さんの身の回りにもたくさんのデザインが存在していることがわかります。

例えば、休みの日に家でくつろぐ時と職場でお客様と接する時とでは、服装も態度も言葉使いも違うと思います。これは、相手や場所に合わせたコミュニケーションをデザインしているということになります。また、クライアントの要望に合わせて、製品の仕様やコストを考え提案することもデザイン。従業員が働きやすい職場環境や勤務条件を整備することもデザインです。つまり、美術的なテクニックやセンスがデザインの全てではなく、目の前の課題に対して、相手のことを想像しながら解決策を考えることも立派なデザインであり、ある意味で皆さんもデザイナーなのです。

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ここまで、

・デザインは色や形だけでなく、使いやすさやわかりやすさ、ブランドやビジネスモデルなど幅広い意味・役割を持っている。

・「デザイン思考」や「デザイン経営」などビジネスシーンでもデザインの活用が進んできている。

・人やモノ、コトのより良い関係性を作り出すのがデザイン。

といったことについてお話ししてきました。

少しはデザインを身近に感じてもらえたでしょうか?

次回は、なぜ今デザインなのか?デザインが求められる背景とデザインの役割についてご紹介したいと思います。

  

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